美容師になるための就職先の選び方や時期、情報収集の方法、就職前の準備などを解説
美容室の数は毎年どんどん増加し続けています。
2022年1月末の厚生労働省の発表によると、その数は過去最高の25万7890軒に。
美容師を目指す人にとっては就職先の選択肢が増え続けているということになります。
そのため、「就職先が決められない」「選び方が分からない」という美容学生さんや美容師さんも多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、美容師を目指して就職活動を始める前に考えることや就職先を選ぶ方法、情報収集のやり方や就活をスタートする時期について解説します。
美容師が就活前に考えるべき3つのポイント
働きたいサロンをピックアップし、比較検討するためには、まずは自己分析をしてみましょう。
自分が理想とする美容師像や働きたい環境などを明確すると、就職先選びに役立つだけでなく、面接で質問されたときにもスムーズに答えられます。
1.あなたの理想の美容師像は?
美容室によって規模やコンセプト、打ち出しているメニューは多種多様です。
そのなかから自分に合う美容室を見つけるために、「どのような美容師を目指したいのか?」という自分なりのビジョンを描き、「どうすればその姿に近づけるのか?」という視点で就職先を探しましょう。
例えば、地域密着型のサロンでひとりひとりのお客様に寄り添って働きたい人と、有名サロンでたくさんのお客様を接客したい人だと、選ぶ就職先はまったく異なります。
働いている自分の姿を具体的にイメージすれば、どんな条件のサロンを探せばいいか分かるでしょう。
また、美容師免許を持っているからといって、必ずしも美容室でスタイリストとして働かなければいけないわけではありません。
結婚式場やヘアメイク専門事務所で働いたり、アイリストやヘアメイクアーティストなどの専門職や、自分の理想とするキャリアをイメージしましょう。
理想の美容師像が思い浮かばない場合は、美容学生時代に楽しかった授業を思い出したり、興味のある技術を書き出すのもおすすめです。
2.キャリアプラン
「美容師としてどんな風に成長したいか?」は、就職先を選ぶうえで大切なことです。
- とにかく早くスタイリストとしてデビューしたい or 自分のペースでレベルアップしたい
- 先輩にマンツーマンで指導してほしい or 外部のセミナーに積極的に参加したい
- 先輩に囲まれて成長したい or 同期といっしょに頑張りたい
- 練習は営業時間内がいい or 営業時間外もサポートしてほしい
など、自分の性格や将来の目標を踏まえて考えましょう。
また、将来独立・開業を目指すのであれば、スタッフの独立を支援しているサロンやフランチャイズ展開しているサロンも視野に入れると良いでしょう。
サポートを受けられたり、先に独立していく先輩の姿を近くで見られたりと、たくさんのことが学べます。
3.働く環境や条件を検討しよう
働くうえで無視できないのが労働条件です。
- 給与体系や金額
- 昇給の仕組み
- 各種手当
- 勤務場所・立地
- 勤務時間や残業の有無
- 休日
- 福利厚生 など
「お給料は月に◯円は欲しい」「家から電車で◯駅以内の場所がいい」などの条件を具体的に書き出してみましょう。
希望を書き出せたら優先順位をつけ、絶対に譲れない条件や妥協できる条件を明確にしておくと良いでしょう。
美容師が就職先を選ぶときのポイント
将来の目標やキャリアビジョンが明確になったら、次は就職先を比較検討していきます。
以下で紹介する5つのポイントをチェックしましょう。
1.サロンの規模や知名度
美容室は規模や知名度によって主に①有名店②大型店③個人店の3種類に分けられます。
①有名店は雑誌やテレビなどのメディアに取り上げられたり、著名人が来店するサロンです。
店舗自体にブランド力があるため集客しやすく、トレンドや最新技術を吸収できます。
ただし、そのぶん就職を希望する美容師も多くなるので競争率が高いです。
そのため、より高度な技術やセンス、SNSでの影響力が求められるでしょう。
また、有名サロンは都心にある場合が多く、生活費や交通費が高くなる傾向にあります。
②大型店(チェーン店)は、教育システムや福利厚生、独立支援がしっかりしています。
年齢や性別を問わず幅広い層のお客様が来店するため、美容師としての技術を多角的に磨けます。
従業員数も多いので、マニュアルがあり働きやすい環境です。
ただし、店舗移動・転勤があったり、回転率を重視される点はデメリットと言えます。
③個人店(小規模店)は、地域密着型でアットホームな雰囲気が魅力です。
リピート率が高く、それぞれのお客様と長くじっくり向き合えます。
オーナーとの距離も近いので、技術や接客、経営のノウハウを直接学べるでしょう。
ただし、福利厚生の充実度やスキルアップのスピードは高いとは言えないでしょう。
また、オーナーの方針が反映されやすいので、教育システムや給与体系もばらつきがあります。
2.労働条件や福利厚生
お給料や勤務時間、雇用形態、社会保険や福利厚生などの労働条件は重要なポイントです。
プライベートにも密接に関係するので、必ず把握しておきましょう。
お給料は初任給の金額だけでなく、アシスタントとスタイリストの給与体制の違いやボーナスの有無、残業代の有無、昇給の仕組みなどを詳細に確認しておきましょう。
福利厚生も通勤手当や家賃補助、特別休暇制度に加え、育休・産休やスキルアップ補助制度など将来のことまでイメージして調べておきましょう。
なかには、求人サイトや求人誌に掲載されている内容と現実の数字が異なるサロンもあるため、面接で確認したり、働いている先輩に聞いたりして確認することも大切です。
3.教育システム
「美容学校で勉強したからOK」ではなく、美容師として働き始めてからもサロンワークをこなしながら技術を向上させ、セミナーや勉強会に参加して最新技術やトレンドを学ぶ必要があります。
自力でスキルアップもできますが、サロンに教育カリキュラムや補助制度があると安心です。
たとえお給料が高くても、美容師として成長できないのであれば考え直すべきです。
教育システムが存在するかどうかだけでなく、次の内容も要チェックです。
- 朝練主体なのか夜練主体なのか
- 外部練習会もあるか
- 学びたい技術が学べるか(ヘアセット、メイク、カラー、撮影など)
- スタイリストデビューまでどのくらいかかるか
- 先輩が後輩を育てようとしているか など
4.サロンの雰囲気
美容室ごとに高級感やナチュラルテイスト、アットホーム……など雰囲気はさまざまです。
サロンのホームページやSNSを見て、条件のチェックだけでなく、自分に合った雰囲気か判断しましょう。
また、サロンの雰囲気はわかっても、客層やスタッフ同士の関係性といった空気感は実際に足を運んでみなければ分かりません。
サロン見学を申し込み、「どんなお客様が来ているか」「どんな会話をしているか」「スタッフ同士の関係性はどうか」などを肌で感じると良いでしょう。
5.サロンの売り・得意分野
美容室ごとに力を入れている技術が異なるため、自分が極めたい分野と一致しているか確認しましょう。
- カラーを極めたい→髪を傷めないカラーリング方法や色のバリエーションを研究しているサロン
- ヘアメイクを極めたい→ファッションショーや雑誌の撮影などのヘアメイクも手がけているサロン
- トータルビューティーを提供したい→まつげエクステやエステ、ネイルのメニューもあるサロン
など、就職後にやりたいことが叶う環境かどうか確認しましょう。
美容師が就職活動をするうえでの情報収集の方法は?
選ぶポイントが分かったら、徹底的に情報収集していきます。
学校に届く求人票の情報以外にも、求人誌やSNS、先輩などから広く情報を集めましょう。
求人情報誌や求人サイトを見る
働きたいエリアが決まっているならまずは求人情報誌をチェックしましょう。
地域密着型のサロンなら地元のフリーペーパーや広報誌に求人広告を出している場合があります。
ただし、紙面だと情報量が限られているので、WEBサイトや求人ポータルサイトも併用しましょう。
美容求人専門サイト内の検索では、雇用形態や職種、給与や休日など希望条件を細かく絞って調べられるので便利です。
サロンのHPやSNSを見る
気になる美容室が見つかったら、その美容室のホームページやTwitter、Instagramも見てみましょう。サロン自ら運用していて最新情報をチェックできます。最近は美容室のSNSだけでなく、美容師さんが各自でSNSを運用しているケースも多々あります。
そのサロンの先輩美容師がどんなスタイリングをしているのか、どんな人なのか確認しておくと安心です。
サロン見学に行く
誌面やインターネット上で情報を集めるだけでなく、実際にサロン見学に行くことも大切です。サロン見学を希望する美容室に電話で申し込むか、求人サイトやホームページから事前に依頼してみましょう。可能であれば、オープン前後ではなく営業中に訪問したほうが働く自分の姿をイメージしやすいです。 サロン見学が難しい店舗なら、お客さんとしてサロンに行ってみてもOKです。
先輩に聞く
同じ美容学校の卒業生や知り合いに就職を希望する美容室で働いている人がいれば、OB・OG訪問を申し込んでみても良いです。実際に働いてみて感じたことや入社前後でのギャップ、就職活動の時に気をつけていたことなど、他の情報源からは分からないリアルな情報をGETできます。
美容師が就職活動を始めるのはいつから?
美容師が就職活動を始める時期は、美容専門学校で2年生に進級するタイミングの前後が一般的です。
4月・5月ごろから会社説明会やサロン見学会が始まり、エントリー→面接を経て6月中に内定が出るのが大まかな流れです。
なかには夏休みが終わった時期に採用枠の拡大や内定辞退者の調整によって再応募をかける美容室もあります。
上記は新卒入社の場合ですが、転職やブランク明けの再就職の場合は時期はそれほど関係ありません。ただし、美容室に迷惑をかけないように繁忙期(3月~4月、7月~8月、12月末〜1月初旬など)は避けたほうがいいでしょう。
まとめ
就職先選びは美容師人生を左右する大切なイベントです。 お店によって働く環境や働くなかで得られるスキルは異なります。自分に合った美容室かどうかじっくりと見極め、就職活動に臨みましょう。